プログラムの作成
パーソナルトレーナーは、段階的リコンディショニンクプログラムを作成する。リコンディショニングプログラムを提供していくうえで最も重要なポイントとして 、段階的なプログラムを作成することが挙げられる。特に、 下肢のリコンディショニングプログラムについては、立位における身体の機能を充分に考慮した段階的プログラムを作成しなければならない 。すなわち、荷重下における単関節運動から、荷重下における多関節運動へと 、段階的にプログラムを 漸進させていかなければならない。
例えば、大腿凹頭筋、特に内側広筋の萎縮、機能低下がみられる場合、膝関節症を改善するためには内側広筋を中心とする大腿凹頭筋の筋力強化が重要であるとされている。しかしながら、ただ単に内側広筋を中心に大腿四頭筋の筋力を高めればよいわけではない。内側広筋は膝関節に関わる 一関節筋の一つであり 、重力対応を担いながら膝関節の安定性をもたらす役割をになっている。すなわち 、立位活動時において動力、推進力をもたらす役割を担う大腿直筋の筋活動に合わせて膝関節を安定させる作用を持つ。
こうした機能を考慮し多関節エクササイズによる筋力強化を行うことが必要不可欠であると考えられる。しかしながら、荷重下での多関節エクササイズをいきなりリコンデイシヨニングプログラムに導入しでも 、効果があがらないばかりではなく、症状、状態を悪化させてしまうことになりかねない。なぜなら、身体にトラブルや痛みを抱えている人の多くは、多関節、複合的な動きにおいて動員される筋の動員パターンが乱れており、特定の筋の収縮力の低下といった課題を抱えているケースが多いからである。
そのような状態でいくら関節エクササイズを行っても、それらの課題を改善する ことはできないのである。特に、重力対応を担う一関節については、重力関与が大きい荷重下では仮に動員パターンが不適切であろうが、重力に抗うために動員されることを余儀なくされる。そのような状態では充分なアプローチが不可能となり、改善が期待できない。