中殿筋と膝関節
<中殿筋>
中殿筋は股関節外転筋であるが、片脚立位時における骨盤安定性を担う重要な筋である。中殿筋の骨盤支持機能が低下していると、立位での活動において骨盤を充分に安定させることができない。このため、動作によって身体の様々な部位に トラブルを引き起こすことになる。
中殿筋の骨盤支持機能の低下によって、膝関節の障害が発生する可能性がある。
<膝関節>
膝関節の伸展制限をきたすメカニズムとして、二関節筋の低下が大きく影響していることが示唆されている。ハムストリングスと排腹筋は二関節筋であるが、二関節筋は本来、充分な伸展性をもたないと報告されていることから、膝関節において伸展制限が生じやすいのではないと考えられている。一般的にハムストリングスや腹筋の伸展性を回復させ
る方法として、長座位でのストレッチングが用いられているが、この方法では伸展性が乏しい二関節筋であるハムストリングスと腹筋を充分にのばせない。
いずれにしても、変形性膝関節症に限らず膝関節に何らかのトラブルが生じている場合には、関節の伸展性を評価し、伸展性に制限が生じている場合、これを改善することが重要なポイントになる。