包装と環境の関係性

包装と環境の関係性

包装材は内容物を保護する上で、また消費者の安全を守る上で非常に大切なものですが、その一方、ゴミとなった後に環境を破壊する可能性が指摘されてきました。また、プラスチック容器の成分が食品に移行する危険性も取り上げられてきました。特に90年代に世間を賑わせたのが、「環境ホルモン」に纏わる問題でした。プラスチックの食器から食品に溶出する成分が、有害物質に当たるのではないかと恐れられたのです。この成分は俗に環境ホルモンと呼ばれました。確かにプラスチックの食器から何かが溶出していると感じる経験は誰もが有しているところで、古くは1966年にも主婦連合会が警鐘を鳴らしていました。ユリア樹脂のお椀に熱湯を注いだところ、ホルマリン臭が感じられたという相談がきっかけでした。

ホルマリン臭の事件については、実験で本当にホルマリンが検出されたため、厚生省も検証に乗り出すことになりました。衛生規格を制定することを目途に、まずは種々の容器、中でも合成樹脂製の容器から溶出する成分を試験で調べることから始められたのです。プラスチック業界も協力し、データの蓄積に向けて実験を重ねました。その成果として、厚労省は「合成樹脂製器具及び容器包装の試験法」を改正し、溶出試験の項目を新設するに至ったのです。危険物質は具体的に、フェノール、ホルムアルデヒド、重金属、蒸留残留物等と定められました。これらの危険物質を使ったプラスチック容器は数多く存在し、業界にとっては厳しい規制でしたが、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂といった代表的な素材を含め、全ての容器の安全性を担保するように努力を重ねたのだそうです。