Tテスト・SLR テスト
<Tテスト>
卜レンデレンブルグ症候を評価するために理学療法の現場で用いられるテストである。 トレンデレンブルグ症候とは、殿筋麻却などに伴う中殿筋機能不全によって、患側肢で片脚立ちしたときに健側 (反対脚側)の骨盤が下がる症状のことを指す。
トレンデレンブルグ症候の場合、歩行時に脚を引きずる動きがみられる。しかし、股関節脱臼といった整形外科的疾患がなくても、中殿筋の機能が低下している人も多く歩行時に代償動作がみられるケースも多い。中殿筋の骨盤支持機能が低下することによって、膝関節に様々なストレスが加わり 、関節のトラブルを引き起こす可能性が高くなる。従って、変形性膝関節症の場合に限らず、膝関節のリコンディショニングプログラムを提供するうえでは、Tテストを実施し 、中殿筋の骨盤支持機能を評価することを推奨する 。
<SLRテスト>
基本的に股関節の屈曲可動域を評価するテストだが、関節の伸展可動域の評価にも利用できる。SLRテストを用いて関節の伸展可動域の評価を行う場合、逮位部に着目しなければならない。膝関節の伸展可動域は大腿骨を基本、俳骨を移動車とし変形性膝関節症の場合、著しい伸展制限がみられ、完全伸展に強い痛みを感じることが多い。
また、 20~45度程度屈曲した状態が最も楽なポジションであることから、おおむね20 度以上の範囲で伸展制限が生じることが多い。ところで、膝関節に伸展制限がある場合、その制限因子となり得るのは、ハムストリングス、二腹筋の短縮が考えられる。また、膝関節伸展不全と内側広筋の筋活動とは強い関連性があることから、膝関節の展可動域を評価するうえでは内側広筋の筋活動レベルを考慮する必要がある。