膝関節の機能
変形性膝関節症に限らず、 膝関節の障害に対するリコンデイショニングプログラムを提供する際には膝関節の機能について理解を深めることが非常に重要になる。
膝関節は大腿骨と腔骨によって形成される関節であり、大腿骨の前面には膝蓋骨が存在する。大腿骨が接する断端は、骨同士が直接接しないように、関節軟骨という組織で覆われている。膝関節は股関節とともに、人間が立って生活する際に最も大きな負荷を受ける関節で、ある。その負荷は、 通常の歩行時において体重の3倍に及ぶとされている。そして、その負荷をすべて軟部組織によって受け止め、膝関節の安定性をもたらさなければならない。 また、基本的に膝関節は2つの動きしか持たないことから、機能的に不安定な状態にある。 しかしながら、日常生活における様々な動作において、膝関節の屈曲一伸展運動は単なる運動ではない。従って、関節はほとんどの動作において股関節、足関節のサポートを受けながら機能することになる 。
歩行時の立脚初期において膝関節は内旋位をとることによって動的安定化を図っているとされている。 しかし、解剖学的には膝関節の内旋という動きは存在しないため、歩行時の立脚初期にみられる膝関節の内旋は、足関節の動きによる腔骨の内旋(下腿部の内旋)と股関節の動きによる大腿骨の外旋によって相対的にもたらされることになる。
これらのことから、肢三関節(股関節、膝関節、足関節)の協調性、連動性が損なわれると、膝関節に大きな負担がかかり、さらにはそれを代償するような形で不適切な負荷が全身に加わることになる。